夢判断31「実家に奥様から電話」p4

  
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実家に奥様から電話



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えり 様
既婚 欧州在住

タイトル/「実家に奥様から電話」

鈴木めいや

A)
今回の夢では、奥様の心像として表現されている影の側面は、あなたの意識の統合性とか主体性と呼んでいるものを壊そうと働きかけてきますが、本人(夢の中の自分や実家)はそれとは反対に、今まで築き上げてきた主体性を守らなくてはいけないような状況にある、と解釈することが出来ます。
これがもし、主体性を守る面が強すぎて、影の側面が(その言葉の通りに)無意識の影に埋もれすぎてしまうと、心が成長していくきっかけも少なくなり、いつまでたっても進歩がないような状況に陥りますが、反対に、影の活性化が強すぎると、今度は心が不安定となりやすく、イライラ感や不安感などによって心の問題が大きくなりやすく、私生活に影響しかねません。
なので、えり様の言葉で言う、格闘した結果どちらが強すぎても、あまり良くないのかも知れません。

えり様

質問5
もし、この続きの夢を見るならば、心の基盤は、影の側面に崩壊されるような夢の方が、現実の私は良い状態なのでしょうか?
それとも、徹底的に追い込まれずに済んだり、窮地に誰かがかばってくれるかするかのような、基盤が保たれたような夢の方が良いのでしょうか?

鈴木めいや

A)
どちらにも良い側面と悪い側面があると思います。
ですが、私の意見を言えば、「心の基盤は、影の側面に崩壊されるような夢の方が、現実の私は良い」という考え方は、危険な気がします。
例えば、人間の骨は一度骨折して治療し、完治すると、以前の骨折前よりも、その骨は太くて丈夫になっていると言います。
ですが、だからと言って、「骨を強くするためには、一度ハンマーでこの腕をへし折ったほうが良いのでしょうか?」と聞かれれば、おそらく多くの人は、「そんなこと止めたほうがいいよ」と言うのではないでしょうか?
成長にはリスクは付き物ですが、わざわざリスクを背負う必要もないのでは思います。
なので私の意見では、基本的には、保たれたほうが良いと思います。

えり様

質問6
私の影の側面とは何だろう?と私が考える必要は、別にないでしょうか?
自分では考えても分からないものが、影の側面でしょうか?
また、劣等機能と影の側面は何か関係がありますか?
例えば、劣等機能の直感を意識すると、影の側面が心の基盤を組み立てやすくなる、というような事があるかなあ、と、ふと思いました。

鈴木めいや

A)
それは、意識の陽の目を浴びずに、無意識下で影となっている何か?としか言いようがないものですので、影と呼んでいるのです。それを影の心像、あるいはシャドウコンプレックスと呼ぶこともあります。
もし、影について考えた結果、ハッキリとした答えが出せたのであれば、その要素は意識の光の中にハッキリと持ち込まれたこととなり、その時は既に、それは影とは呼べない、全く別の要素となっていると言えます。

また、「劣等機能の直感を意識すると、影の側面が心の基盤を組み立てやすくなる」という考え方は、正にその通りだと思います。
例えば、イラクが戦争をしていた時期というのは、日本人を含める世界中の人達(得にアメリカ人)はイラク人にシャドウコンプレックスを投影しやすい状況にあったと言えます。

もしも戦争をしていたその時期に、とあるサラリーマンが会社帰りの電車の中でイラク人を見かけたら、たちまちその人のシャドウコンプレックスが刺激されて、イライラしたり、不安な気持ちになったりしがちです。

ですがその時、もしも自分自身の劣等機能(その機能が持つ性格そのものが影の側面と言っても良いでしょう)を意識することが出来れば、彼はこう思うはずです。
「私は今、隣にいるイラク人が怖いのではなく、私自身の無意識にある、影の側面が怖いのだ!もしもここで、イラク人なんてのはみんな悪い人間に決まっているから、お前らはこの日本から出て行け!と言えば、この人は私のシャドウコンプレックスの犠牲者ということになるだろう。現実には、イラク人にも日本人が持っていないような、良い部分は色々あるはずだから、イラク人とも偏見を持たずに仲良くすべきなんだ」

そのとき勇気を出して内的な影と向き合い、外的に存在しているイラク人に話しかけて、仲良くなれば、今まで知らずにいた彼らの良い部分を見つけるはずです。
そしてその時、初めて意識は拡大され、視野が広がり、影に脅かされる危険は和らぎ、心の基盤が組み立てやすくなる、と言うことができます。
なのでえり様のその考えは、基本的には正しいのだと私も思います。

えり様

質問7
心の基盤の崩壊とは、うまくゆけば、自分自身の成長になり、悪くいくと、自分自身が不安定になる、精神的な健康度が下がる、というようなものでしょうか?

鈴木めいや

A)
そうですね。これまでの回答の繰り返しとなってしまうので、多くは割愛しますが、少なくとも私は、そのように考えています。

えり様

質問8

私生活での今後の進展のために、影の側面が作用し、心の基盤を組み立てなおそうとの試みが生じたことをあらわした夢であると考えることができます。

この試みが生じた事は、私が、少しでも前進している、しようとしている状態、を表していますでしょうか?
それとも、先の分からぬ不安が、何もしない私の代わりに、この試みを影の側面にさすかのような夢でしょうか?

たくさん質問ありまして申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

鈴木めいや

A)
えり様個人が、という意味では、「私が、少しでも前進している、しようとしている状態を表している」と言えるかと思います。
ですが、「私が」という言い方は、まるでご本人にそのような意思があったかのようなニュアンスとなります。
なので、「私が」というよりかは、私の無意識が、「私に」少しでも前進させようと試みている、と言ったほうが妥当かと思います。

例えば、まだ幼い子どもは周囲の大人が想像しているよりも成長が早いものですが、当の本人は、「成長しよう、前進してやろう」などという意識は全く無いのが普通です。
しかし不思議と、本人の意志に関係なく、子どもの心は自然と成長していくものです。彼の無意識が、本人も知らない間に彼の心を成長させているのです。これは当たり前のようなことですが、よく考えると不思議なことなのかも知れません。
その、成長させている何かとは、本質的には、「私」で間違えないのですが、「私」と呼ぶには、あまりにも未知なる何かです。

宗教の世界では、それを神的領域とか、存在の実在的基盤とか、超意識などと呼ばれている場合もあるようで、それには多くの呼び方があるようです。
ですが、ユング派心理学では、なるべく偏見を持たなくするために、最も単純な言い方である「無意識」という言葉を使っています。
その言葉には、意識できない何か?という程度の単純な意味しかないので、それは多くある呼び方の中でも、最も科学的と言えるからです。

そして、今回の夢解釈では、あなたの無意識はあなたに、少しでも前進させようと要請してきている、と考えることができます。
もちろんそれは、先の分からぬ不安な気持ちとも関係しており、もしかすると、そのことがこの夢のモチーフ(動機)と関わっているのかも知れません。

さて、今回は、とても鋭く、そして的確な質問を頂きまして大変嬉しく思いました。
それなりにお答えさせて頂いたつもりではありますが、いかがでしょうか?

えり様

鈴木めいや様
ご回答ありがとうございます。
お返事大変遅くなりまして申し訳ありません。
体調を崩してしまいました。 気になっていたのですが、すごく申し訳ありませんでした。 鈴木様に質問させて頂き、夢の世界が分かり、世界感すら変わりました。
ご相談申し上げて、本当に良かったです。
何度も読みかえしていたのですが、ついついお返事遅くなりまして今に至り、先ほど、掲載についてのメールに返信させて頂きました。
本当にすいません。

全てのご回答に、最初に拝読した時から目から鱗です。
無意識とは何か、それが一番分からなかったので、それが何となくですけども、ご回答で分かったので、鈴木様の解釈が、改めてはっきりと分かりました。
無意識からのサインの奥深さ、その深度に、今後私は夢を見たら注目しそうです。
ご相談して本当に良かったです。
気も楽になりましたし、自分の性格や欠点、現在の問題とも、頭の中では向かい合えました。
悪夢と向き合えたのは、本当に良かった。
今後、悪夢が、悪夢でなくなります。
私の意識が、ちょっとでも一皮向けてくれる日が来ます様に、と思います。

どうか、お体大事に、今後もご活躍ください。
鈴木様の夢解釈は、読む側が、ちょっと視点を変えたら非常に分かりやすく、筋道たってよく理解できる、というのが、私の率直な感想です。

鈴木めいや

相談してよかったと仰って頂き、何よりです。
さて、今回はとても詳細に渡る鋭い解釈となりました。
いつでも、またのご来店をお待ちしております。
それでは…

2012/11/27 〜 2012/12/17

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