夢判断18「メアリーの執刀医」p3

  
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メアリーの執刀医



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みよし様
36歳 女性 既婚

タイトル/「メアリーの執刀医」

すると、上司の医師であるらしい男性たちがきて、そのうちの一人に、あなたは、

「バイトに行っていて戻るとこのような事態になっていた」

と言います。
この描写は、あなたが「建物の1階」という現実的な心の状態となっている時間帯に、その女性原理が大変なことになってしまっていた、ということを意味します。
つまりこのことは、現実の生活において、あなたは学生を卒業後、医師としての活動という現実的な物事と向き合っている時間帯に、無意識下の女性原理は機能を失ってしまった(つまり、メアリーの内臓や頭がなくなってしまった)ということではないかと感じられます。
さらに夢の中で、その男性医師は、年長の女性医師に、

「どうしてあんなの放っていたんだ!」

と詰問します。
彼女はうなだれて答えません。
無意識下の、内なる男性的要素・アニムスの心像は、女性原理が機能を失い、がんになってしまったことに対して大変ご立腹のようです。

その後、部屋に戻ると、その同級生の執刀医は1人で幾つもの大きな箱をカートに積んでいて、患者を運ぼうとしています。
「どこに行くの?」
と聞くと、素っ気無く
「手術室」
と答えます。
あなた(自我)は外的現実という水準でこれまでの心像を見てきているので、「今更遅い」と愕然としますが、現実の手術と夢の中の手術は次元が違います。
その女性原理・メアリーはまだまだ治る可能性を秘めているとわたしは思います。

その影の側面(同級生)は、あなたに対して、どこか無関心のようですが、あなたの無意識下にあると仮定される、“その同級生のような心の要素”だけが、メアリーという理想的な女性原理を治療し、機能させる可能性を持っているようです。

最後に、この夢を一言で解釈すると、「学生時代に置いてきぼりにしてきた結果、全ての機能を失った女性原理を今こそ治療し、活性化させようという無意識による試みが表現された夢」であると、考えることが出来ます。

このように解釈させていただきましたが、いかがでしょうか?

みよし様

鈴木めいや様
夢判断ありがとうございました。肯定的にご解釈していただき元気付けられるような思いがいたしました。

私が大学入学後専ら男性原理によって環境に適応してきたであろうことは、ご指摘の通りと存じます。
女性が何らかのプロフェッショナルを目指す場合、ありがちなことだと思います。

夢に出てきた患者が、「あなたが学生の頃に置いてきぼりにしてきた理想的な女性像」であるとのご解釈は納得です。
その患者ですが、

1)何故西洋人なのか
外向性や社交性に優れている、ということもあるのでしょうが、「男性原理」優勢な私としては、同胞の女性よりは西洋人の女性の方が「理想的な女性像」としやすいのかも、と思いました。何となく、自分自身から遠い存在を理想としているということは、前途多難な印象です。

2)メアリーという名前の意味
これは「マリア」の英語読みですので、聖母のような善良で純粋無垢な女性のイメージでしょうか。夢の中の女性は、非常に若いのですが少女ではなく成熟している、20台前半くらいの年齢であった印象です。

あと、夢を思い返していたときに、遠藤周作の「海と毒薬」を思い出しました。
小説の中で、外科の教授が有力者の娘を執刀するのですが、手術の失敗により死なせてしまう場面があります。また、その教授の妻は留学の際に出会ったドイツ人女性で、メアリーという名前ではありませんでしたが慈善活動に熱心な敬虔な人物です。
私の夢の中の患者は、この術中死する有力者の娘とドイツ人妻の二人の女性のイメージが合わさったようでもあるなと思いました。関係あるかどうかわかりませんが・・・如何でしょうか。

「スカーフの巻き方講座」ですが、これも、「メアリー」の善良さ・親切さ・西洋風の文化・美しさといった属性をあらわすものなのでしょう。
また、何となくですが、それが例えばパッチワークとかお菓子作りとかではなく「スカーフ」であったことは、患者の首が切られることと関係があるような気がします。それ以上はわからないのですが、何となくそういう気がします。

夢に出てきた高校の同級生ですが、まだこの人の意味についてはよくわかりません。
ただし、彼女が自分の音楽の能力をなおざりにしていたことが、私の心にひっかかっていたことのような気がします。
夢の彼女は確かに治療する目的だったのでしょうが、患者をただ解体しているだけのようにも見えました。

以上、取り留めのない文章になってしまい申し訳ありませんが、ご解釈を読んで思いついたことを並べてみました。
これにより、さらに気付かれた点などありましたら、お教えいただけますと幸いです。
どうか宜しくお願いいたします。

鈴木めいや

みよし様。
お返事を頂きましてありがとうございます。

例えば、一度心臓が止まり死後の世界を見て再び息を吹き返したという人は多くの場合、その死後の世界では、「お花畑」と「金髪の西洋人女性」があらわれます。おそらくわたし達日本人にとって、西洋人女性とは、どこか平和で華やかで、暖かい理想のイメージであり、ご本人もお気づきのように、それは普段の意識からは遠く隔たった、無意識の遠い世界の心の世界のイメージなのでしょう。
それだけ、ご本人にとっての優れた女性原理とは、身近には無いような遠い何か、ということなのでしょうね。
また、

「これはマリアの英語読みですので、聖母のような善良で純粋無垢な女性のイメージでしょうか。」

とのことですので、もしかしたら夢の中のメアリーは、マリアという神聖なものの、精神性の高い聖なる女性像という元型的なイメージをも含んでいる可能性があると思われます。

そして、もし仮に、そのような要素が強いとすると、夢の中のメアリーは、いままで無意識下に影を潜めていた女性原理といった、単なるシャドウの心像というよりは、神聖なる心の中心的なイメージ、つまり、セルフのイメージに近いなにものかをあらわした像である可能性をも出てきます。
とするとこの夢は、単なる影の側面・女性原理の治療をあらわした夢というより、心の全体を調和する心の中心的な働き、つまりセルフの治療をしている夢、というニュアンスをもあらわしている可能性が少し出てきますね。

ですがメアリーは、「20台前半くらいの年齢であった印象とのことですので、いわゆるそれは、年老いて完成された人格のイメージ像ではなく、これから鍛えられ、これから分化・発達させていくべき心の中心的な働き(セルフ元型)というニュアンスがある可能性が出てくるように思います。
ですが基本的には、女性原理の治療をあらわした夢である可能性のほうが大きいと思われますが。

また、スカーフの巻き方講座についてですが、ご本人のご指摘を読んで、夢の中のスカーフは首という知性(頭)と本能(胴体)を繋ぐ部位を、“保護する”ための物、というニュアンスをもあるのではないかと思いました。

つまり、首から上は頭(知性)であり、顔(ペルソナ)でもあるのですが、それらが切り落とされて失わないように、首を保護するために、「スカーフの巻き方講座」なるものが行なわれる予定であったのでしょう。ですが、そのような講座は既に手遅れで、もうメアリーの首は切り落とされてしまっているので、スカーフの巻き方を覚えるのはやめて、治療に専念するのです。

そして、なぜ執刀医がその同級生であったか?ということですが、その同級生のモチーフとなっている心的要素は、メアリーのモチーフとなっている要素の近くに布置されているから、ということが大まかな主な答えですが、その他に、もう1つ理由があるように思われます。

メアリーは、分化された感情を持つ優れた感情機能の持っている社交家と思われ、その感情表現(メアリー)を治療できるのは、やはり音楽の才能・つまり豊かな感情の表現力にたけているその同級生しかいない、というニュアンスもあるのではないかと思います。
ご本人の中のメアリーのような豊かな感情の表現能力を治療するには、やはりピアノなどで豊かな感情表現が可能なその同級生しかいなかった、ということなのでしょうね。

色々と解釈を付け加えてしまいましたが、この夢で何よりも大切なことは、この夢のラストの場面にあります。
この夢は、

「部屋に戻ると執刀していた同級生が一人で幾つもの大きな箱をカートに積んで運ぼうとしているところでした。どこに行くの?と聞くと、目を合わさず素っ気無く手術室と答えました。」

という場面で終わります。

つまり執刀医は、これから手術室でメアリー(女性原理)を治そうとしているのであり、その執刀医の意志は、最初から最後まで、多くの機能(内臓や頭)が完全に停止してしまっているその女性原理を復活させることにのみ向かっているのです。

これはおそらく、多くのおとぎ話の中で、魔法の呪いに苦しむお姫さまを助けるために常に悪と戦い続ける王子さまと同様の、強い意志があるのではないかと思われます。
多くのおとぎ話の中では、姫は王子に救われるまで永遠に苦しみ続けますし、王子は姫が救われるまで、永遠に戦い続けます。それは、ミツバチがただひたすら蜜を運び続けるのと同様に、本能的・元型的で絶対的な、“意志の強さ”ということが出来ると思います。

おそらく、現実には、ご本人の無意識は女性原理の治療と回復に向かっていて、その執刀医のモチーフとなっている何らかの心の要素が治療に専念し続ける限り、この夢は肯定的であり、これから女性的な心の働きを得ていく可能性が期待できるかと思います。

以上ですが、いかがでしょう?

みよし様

鈴木めいや様
お返事有難うございます。
スカーフが、「首という知性(頭)と本能(胴体)を繋ぐ部位を、“保護する”ための物」というご解釈には納得いたしました。
治療が必要なものが、知性と切り離された状態にある、というニュアンスなのでしょうね。

なぜ執刀医がその同級生であったか?ということに関してですが、私の高校の同級生の中には大学の音楽科に進学し素直に才能を伸ばしていった人が何人かいます。何故彼等ではなく、音楽を拒否するかのようであった例の同級生が夢に選ばれたか、なのですが、私にはこのことは「メアリー」の治療が結構困難であり、現在私の手持ちの「心的要素」では力不足であることの描写ではないかという気がします。

おかげさまで全然意味不明であった夢の意味が何となくわかってきたように思います。ありがとうございました。

鈴木めいや

そのように言っていただきまして、大変嬉しく思います。
今回、夢判断の依頼を頂き、誠にありがとうございました。
またのご来店を心よりお待ちしておりますので、お気軽にご活用して頂ければと思っております。
それでは。

2009年02月13日〜2月27日頃

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