夢判断09「立ち入り禁止の地下」p3

  
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立ち入り禁止の地下



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ミルトン様
31才 男性 会社員 既婚 二人暮らし

タイトル/「立ち入り禁止の地下」

例えば、芸術家や芸能人などの直感タイプの人は、暮らしている部屋がどうしても散らかりやすく、着ている服装なども毎日変わらなかったりするものです。これは、直感タイプの人にとっての感覚は、思うようにコントロールの利かない第四の機能なので、どうしてもそうなりやすいのです。
わたし達は、第四の機能に関しては産まれたての赤ちゃんと同じで、その頃からほとんど発達しておらず、それは適応機能にとっては害のある機能なので、普段は心の深い層に押しやっているのが普通なのです。

そして、夢の中の地下の四階は、第四の劣等機能が支配する場所をあらわしています。そこにある心的要因は、コントロールの利かない厄介なものなので、“コントロールの利くもの”を象徴する自動車はありませんし、そこは駐車場であるかどうかも分かりません。
ここからは、自我(夢の中のあなた自身)にとって、とても危険な心の領域なのです。
夢の中で、地下3階から下は「立ち入り禁止」となっているのはそのためなのです。

心の安全を保つためには、そこから下は踏み入れてはいけない領域なのですが、あなたは当時、内的な世界に興味があったのか、さらに下へと降りていってしまいます。

「鎖をまたいで下に降りると照明が一部消えてたり蛍光灯がチカチカ点滅しててうす暗かったです。」

とあるように、そこから下は外的な心の世界からは遠く隔たり、少しずつ無意識の奥へと入り込んでいきます。
夢の中の光や蛍光灯は、意識をあらわし、意識をあらわす蛍光灯は、チカチカと点滅して薄暗くなっています。

地下四階から下が、コントロール可能なエネルギー(自動車)が全く無いということは、ユング博士の心のモデルとピッタリと一致していて、これは本当に興味深いことです。

すると、6階から、人の形をした影がフッっとでてきます。
そして、地下7階に下りると、その影がすごくたくさんいます。心の7番目の層は、ユングのモデルと照らし合わせると、「興奮」の領域に入り、もし、ここにいた影が活性化してしまうと、理性の力で強引に押さえつけるか、あるいは、意識が彼らに乗っ取られてしまうしか仕方ないので、

「夢のなかでは直感的にその影に触れたら死ぬって感じがしました。」

と思うのは、当然のことだと思います。
また、

「下に降りる階段は真っ暗で怖くて一目散に地上に上がりました。」

とあります。
「下の階段」というのは、地下8階のことであり、ユングのモデルでは、“侵入”の領域と思われますが、この領域は、わたし達の自我にとってはあまりにも危険なので、地上(意識領域、あるいは外界)に上がらなければならなかったのでしょう。

そして、夢の中のこの影が、具体的には何を象徴しているのか、ですが、これは、心理学の用語でいう“シャドウ”だと思っていいと思います。
これは影であって人間ではないので、なんらかの心的要素が、人格化すらしておらず、それ以前の段階のまったく発達していない未分化な心的要素なのでしょう。

そして、注目していただきたいのは、

「上半身だけ地面の上にでているような感じ」

というところです。
これは、まるで足が存在していないかのようなイメージです。

夢の中の足は、「立場」を象徴することが多く、影で象徴されている何らかの心的要素には、「自分の立場」が無いのです。立場がないので、なんとか安定した立場を手に入れようとしてフラフラと彷徨っているのです。
この影の数々は、いままで意識によって見放され続けてきた、未分化で劣等な何らかの要素をあらわしているのでしょう。

具体的には分かりませんが、この影は、ご本人にとっては邪魔であり、嫌いで、出来れば見たくない、ずっと心の底に隠しておきたい何らかの要因の総体と考えることが出来ます。

この夢の断層的な構造は、あなたの個人的な心の内容をあらわしているというよりは、普遍的なわたし達の心の構造をあらわしているのではないかと解釈することができます。
この夢は、心の内容というよりは、普遍的な“心の層”を表現しているものと思われます。
地下1階が、ユング博士のモデルでいう(1)であり、地下2階が(2)、地下3階が(3)と続き、地下8階の(8)付近まで降りていく、という心の描写をあらわしているのでしょうね。

さて、通常の二倍の文章量(予備知識と夢解釈)になってしまいましたが、このように解釈させて頂きました。
いかがでしょうか?

ミルトン様

長文お疲れ様でした。
非常に興味深い内容でした。
そのユングの心のモデルそのものをあらわしているところなんか貴重な感じがしました。
これはぜひ載せてやってください。

その当時は彼女いない暦年齢でカップルをみるとむかついたり、劣等感を感じたり、鬱な気持ちになったりしていました。
場合によっては男のほうだけぶち殺してやろうかとか思っていたこともありました。
電車とかでキスとかいちゃついてる高校生なんかそうでしたね。年下のくせにって感じで。
あるいは年下なことに劣等感とか。

車も持っていなかったので同じ学生で車を持っている人がうらやましくて自分は高級車に乗って見返してやりたいとか思っていました。
現在は一応高級車に乗ってます。
コンプレックスみたいなものがいろいろあったのでしょうかね?

そうやって解説していただいたら武装してライトをもって8階にも下りていって見ようとか思いました。
8階、9階、10階はどうなっていたのだろうか少し興味がでてきました。
でも夢の中ではどこまで続いているのかわからない、なかがどうなっているのか想像もつかない、無限に続いているんじゃないかと思ったくらいです。とにかく6階から怖かったです。
銃器で倒せる相手ではない感じでしたし。

ミルトン様

追加ですけど、
私は普段は落ち着いていて少々何があってもめったなことでは怒らない、キレることのない人ですが理不尽なこと、人格を否定されたようなことがあったら相手を殺したくてしょうがなくなります。
破壊と殺意の衝動にかられますがもちろん行動化はしていません。

頭の中で相手をたたき殺すところを想像したりしながらイライラな状態をすごし、30分以内にはおさまります。

よくあるのが自転車に乗っていてすれ違いざまにもたついて相手の自転車から舌打ちくらったときは引き返して体当たりしてボコ殴りにしたくなります。
そのイライラが5分、10分つづきます。

さらに相手が文句を言ってきたときなんかこっちも罵り返そうとしますが、互いに自転車に乗っているのでほとんどの場合、反応に遅れて相手も自分も遠く離れてしまっていて罵れずじまいでイライラだけが残ります。

鈴木めいや

あなたのご想像の通り、夢の中の地下6階からでてくる“影”は、この夢を見た当時(5年以上前)の、そのような、「破壊と殺意の衝動」の源となっている心的要因の象徴と考えることができると思います。
これは、わたし達人間ならだれもが持つ元型的なコンプレックスです。
ユング心理学でいうシャドウの像は、“悪”のイメージに近いものであって、当時のあなたは、もしかしたら、この“影”が接近してしまっていたのかも知れませんね。
これはわたし達にとっては本当に危険なことで、もしこの強烈なイメージに意識が呑み込まれてしまったら、例え一時的だとしても、本来の自分自身を失ってしまうことになるかも知れません。
ですが、もう5年以上も前の夢ですので、それほど気にとめる必要はないかと思います。
それにしても、あなたの夢には元型的なイメージがあらわれることが多いですね。
また何かございましたら、お気軽にご投稿いただければと思っております。
では…

送信日時:2007年09月28日

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