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夢と昔話


夢と昔話について

夢と昔話

〜本:おとぎ話の心理学P4より抜粋〜
おとぎ話は、普遍的無意識的な心的過程の、最も純粋で簡明な表現です。
だから、無意識の科学的研究に当たって、その価値は他のあらゆる素材のそれを上回っております。
それは元型を、その最も単純であからさまな、かつ簡潔な形で示しています。
この純粋な形において、元型的イメージは、普遍的な心に生じている過程を理解する最善の手がかりをわれわれに提供するのです。
神話や伝説、あるいはもっと手のこんだどのような神話的資料ででも、われわれは、文化的材料の覆いを通してではありますが、人間の心の基本的パターンに到達します。
しかしおとぎ話には、意識的な特定の文化的材料が比較的少ないので、心の基本的パターンがより明確に反映されているのです。


世界中で聖書の次に多くの読者を獲得しており、多くの人々に愛されているグリム童話。
グリム童話などの昔話は、なぜ、これほど世界中の人々から圧倒的な人気を誇っているのでしょうか?
それは、昔話の登場人物たちが、わたし達の基本的な心の基盤とも言える、「元型」を象徴しているということに関係があります。分析心理学でいうこの元型とは、動物で言う本能と同じ心の働きを示しており、そのため昔話の主人公たちは生々しい生命の息吹に彩られているかのように感じられます。
また、昔話には作者はいません。
それはまだ字の読み書きも出来ずにいた昔の人々が、口伝えに語り継いできたものであり、テレビドラマのように、意図的に頭で考え出されたものではなく、無意識の自立性により、自然発生的に生じてきたものです。
そして、普段わたし達が睡眠時に見ている"夢"もまた、無意識の自立性によって自然発生的に生じる現象であり、そういう意味では、夢とおとぎ話は、どちらも同じようなものと言えます。
そのことから、ユング心理学(特に古典派)では、夢を分析するときには、それと関係がありそうな昔話や神話などをできるだけ多く集め、夢の象徴的な意味合いを広く探りながら解釈しようとするという特徴があります。
このページでは、夢と同じ心像が出てくる昔話や、夢と文脈が似ている昔話を探して参考にすることが出来ます。





グリム童話 「カエルの王様」
ある日、美しいお姫さまが金のマリで遊んでいると、それを森の泉に落としてしまう。 姫は泣いていると、泉の底から一匹のカエルが現れ〜
【 分析/ 女性の心のなかの男性的な側面(アニムスの心像)が変容し、自己実現の過程をあらわしたお話し 】
グリム童話 「ヘンゼルとグレーテル」
飢饉のため、森に捨てられてしまったヘンゼルとグレーテルは、 兄・ヘンゼルの知恵により、なんとか家に帰ってくることに成功する。 しかし、こんどはもっと深い、森の奥へ奥へと捨てられて〜
【 分析/ 母親からの、精神的な自立の過程をあらわしたお話し 】
グリム童話 「いばら姫(眠れる森の美女)」
姫は15の歳で、老婆の針を指に刺してしまう。その瞬間、姫を含め、城中のすべての生き物が深い眠りにつき、お城全体はいばらの垣根で覆われてしまう。その後、姫の眠りは100年の間続き〜
【 分析/ 思春期の、繊細な心の揺れ動きをあらわしたお話し 】
グリム童話 「白雪姫」
白雪姫の父親の王は、別のお妃を迎えました。新しいその王女は気位が高く、うぬぼれ屋で魔法の鏡を持っていました。白雪姫が7歳になったとき、その継母は魔法の鏡によって、もはや自分が王国で一番美しい女性ではないことを知り〜
【 分析/ 愛する力(関係性を作り結びつく力)が、意識の新しい原理となり、心的な場をリードしていくためのプロセスをあらわしたお話し 】
日本の昔話 「桃太郎」
桃から生まれた桃太郎は、お婆さんから黍団子(きびだんご)をもらい、イヌ、サル、キジを仲間にしたがえて、鬼ヶ島へと鬼を退治に〜
【 分析/ 桃太郎(感覚的な意識の傾向)は、本能的な感情、思考、直感的な傾向を仲間にしたがえて、4っつの側面によって普遍的な悪(影の元型)の心像を抑圧するプロセスをあらわしたお話し 】
フランスの民話 「美女と野獣」
ある商人が、バラを摘もうとある庭に忍び込むと、その前に、庭の主である野獣が現れる。 豪邸で商人を歓待するが、商人は欲を出したために、監禁されてしまい、身代わりに、娘を要求され〜
【 分析/ 若い女性のイニシエーション(性的・動物的な側面と調和して生きるための父の束縛からの解放)をあらわしたお話し 】
グリム童話 「つぐみの髯の王様」
ある王様に、お姫様が1人おありでしたが、ひどく気高くいばりんぼときているので、どんな求婚者でもこれでいいということがありません。 次から次へと片っ端から皮肉をあびせるしまつでした〜
【 分析/ 女性の心の中の未発達な男性的要素(アニムス)をあらわしたお話し 】
グリム童話 「3枚の鳥の羽」
むかしむかし、ある王様には3人の息子がおりました。そのうちの2人は、賢く分別もありましたが、3番目の末の息子は、いつもポカンとしていて、でくの坊の呼ばれておりました。さて、王様は歳をとりからだも衰え〜
【 分析/ 心の全体性、自己現実のプロセスをあらわしたお話し 】
スペイン採録の民話 「白い鸚鵡」
美しい伯爵夫人に冷たくされた執事は、婦人が産んだ男女の双子の赤ちゃんをガラスの箱に入れて、川に流してしまう。ちょうどそのとき、川で魚を取っていた老人が、流れてくるガラスの箱を〜
【 分析/ 四人の心像(心の全体性)が破壊され、無意識のなかで復興され、再び破壊され、白いオウムによって再び元に戻るというプロセスを通し、確固たる全体性のまとまりが築かれたことをあらわしたお話し 】
シベリヤの昔話 「独りぼっちの猟師」
独りぼっちの猟師が、川の対岸にある深い森らひとりの美女が現れるのを見る。彼女は手招きを〜
【 分析/ 否定的なアニマの危険性をあらわしたお話し 】
グリム童話 「ガラス瓶の中のお化け」
貧しい木こりの息子は、ある日、父親の手伝いをしに薪を取りに、きびきびと働いていました。やがて昼になると、息子は「鳥の巣でも探してくるよ」といって、自分のパンを持って、森の中へ入っていきました。息子は大きなカシの木の下にやってくると〜
【 分析/ 無意識の恐ろしい否定的側面には、建設的な可能性を持つ肯定的な面もあることを示したお話し 】