夢判断08「初老の中国人」p2

  
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初老の中国人



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せお様
32歳 男性 一人暮らし 会社員

タイトル/「初老の中国人」

よくおとぎ話などでは、主人公がピンチに陥ると、神様に近いイメージのお爺さんが現れ、主人公に智恵を与えてピンチから救い出すというシーンがあります。これは、心理学の用語では“老賢人”といって、父なるものの元型的なイメージです。
このような老賢人や、セルフといった元型的な心像は、普段、わたし達が見る夢やおとぎ話などを調べると、心の全体的なバランスを調整する働きがあるようです。

この夢に登場する初老の中国人も老賢人の象徴であり、自我が危険に陥ったときに現れ、意識を高い水準まで押し上げるような働きを認めることができるかと思います。

そして、父なるものの元型である老賢人やセルフといったイメージは、一般的に精神的な成長に関係があり、ご本人の生活や生き方などが大きく変わる時期に、夢に現れることが多いようです。
なので、

環境につきましては変化がありまして、勤め先が他社に買収されることになったため、 秋から冬にかけて仕事の面で様々な変化が予想される状況にあります。

という現実的な状況と、夢の中の初老の中国人は、無関係ではないと思います。

また、この初老の中国人は敵として現われます。
そして、中国人に対する連想では、不道徳というお答えもあったように、彼は、“父なるものの元型”であるにもかかわらず、どこか“恐ろしい”イメージを伴なっています。
本来、このような“父なるものの元型”は、「こうあるべきだ」という倫理観や道徳観、他人を動かす力や、正しくあろうとする心、などの役割があり、そんな彼が畏怖のイメージで現れたということは、あなたは現実に、会社が回収された後に行なう仕事での、倫理観や道徳観といった父親的な制約などにたいし対し、少し恐れのような気持ちがあるのかも知れません。

車に乗せられるというのは、“父なるものの元型”に対して受動的な状態にあるということを意味していて、自我は彼らに身を任せていると、口の中に拳銃のようなものが突きつけられ、内部に熱い焦げるような感覚が広がります。

口は、物事を伝えたり食べ物を受け入れたりする場所ですので、体の外側と内側を繋ぐ部分というニュアンスがあります。父なるものの元型(初老の中国人)は、精神的にピンチに陥ったときに、口の中に何かを突きつけ、自我に大きな変化を与え、意識を次の水準へと推し進めます。

そして、その大きな変化は、次のシーンの、「見知らぬ自分の部屋」として現れます。

通常、自分の部屋の中は、ご本人の意識領域をあらわします。そしてここは“知らない場所”ですので、このことは、「いままでに経験のない意識の状態の状態に至った」ということを意味しています。
そして、はじめは寝ていますが目を覚まします。

夢の中で「起きる」というのは、再生や誕生、意識の活性化などをあらわしていて、この部屋(意識領域)にたどり着くまでには、トンネルを抜けて深く内省し、葛藤によるピンチの中で老賢者と出会い、そしてやっとたどり着いた心の領域なのです。

そして、外は夜ですので、家の外側は暗闇という無意識の領域が広がっています。
その無意識の世界からは、見知らぬ女性が犬を連れて訪ねてきます。
この女性は、心理学の用語でいう“アニマの心像”といって、ご本人が持っている女性的な心的要因(漠然としたムード、予見的な勘、非合理的なものへの感受性、他人と関係を築く能力、自然物への愛、無意識との関係)などが人格化されたもので、彼女は、数匹の犬を連れています。
基本的に、夢の中の犬は、従順な気持ちや愛情、忠実な心などをあらわし、この犬は、毛が長くて活発です。毛が長いということは保温性があり、“暖かい気持”ちという表象と関係があり、彼女は、そのような要素を手にしているということでしょう

そして、台所という食べ物(心的エネルギー)を調理する場所で、彼女と何か会話を交わし、アニマは自我に急接近してきます。

するとその部屋(新しく手に入れた意識領域)には、二匹の狼のような動物がいます。狼は、凶暴ですが知性の高い動物です。この意識領域の中には、そのような狼に象徴されている心的要素も含まれているということでしょう。

さて、これまでの心の描写をまとめると、

1) 精神的な努力 〔夢の中の、坂道を登る〕
すると↓

2) 無意識界、内的世界への模索 〔夢の中の、トンネルに入り進む〕
すると↓

3) 原始的なコンプレックス 〔夢の中の、暴れる怪物らしきもの〕
すると↓

4) 今となっては不必要になった人格の終わり 〔夢の中の、交戦し皆殺される〕
すると↓

5) 老賢人のエネルギーに依存的な状態 〔夢の中の、捕まり車に乗せられる〕
すると↓

6) 意識の次の水準に向かうきっかけ 〔夢の中の、口に拳銃を撃たれる〕
すると↓
〜場面は変わり〜

7) 新たな意識の全体的なイメージ 〔夢の中の、見たことのない自分の部屋〕
すると↓

8) アニマの接近 〔夢の中の、五匹の犬を連れた女性が尋ねてくる〕

という流れを把握することができるかと思います。
このように解釈させていただきましたが、いかがでしょうか?

せお様

お世話になります。
解釈の結果を読ませて頂きました。ありがとうございました。
一つ質問があるのですが、最後の場面でアニマが私を訪ねてきたことに何か理由といいますか、意味はあるのでしょうか。
アニマは私に何の用があったのでしょう。

鈴木めいや

返信、ありがとうございます。
夢と解釈のサイト作成者、鈴木めいやです。
「お世話になります。
解釈の結果を読ませて頂きました。ありがとうございました。

一つ質問があるのですが、最後の場面でアニマが私を訪ねてきたことに何か理由といいますか、意味はあるのでしょうか。
アニマは私に何の用があったのでしょう。」

とのことですが、そのご質問に答えるには、心理学的に、夢の全体的なストーリーを解釈しなければなりません。

まず、この夢の中心的な役割を担う初老の中国人ですが、これは心理学の用語ではセルフ(あるいは老賢者)と言って、ご本人にとって、足りない心的要素を補ったり、あるいは過剰になっている要素を引き下げたりして心の全体的なバランスを調整するというような働きがあります。
これは、わたし達の精神的な成長にはなくてはならないメカニズムなのですが、一般的に、男性は男性性(理論性や合理性、自立性など)ばかりが発達してしまい、女性性(ムードを生み出したり豊かな感情をコントロールする能力)は未発達のまま無意識下に留まる傾向にあります。一般的に、男性はそのような女性性を働かせることは苦手で、弱点のように感じる部分でもあります。
そして、この夢は、心理学的に言ってしまえば、「“セルフ”という調整機能が活性化され、いままで足りなかった心的要因を補った」という心の成長過程をあらわしています。
つまり、セルフの象徴である“老賢人”の働きにより、いままでの意識に少し欠けていた心の要因、アニマ(女性性)を得てきたと考えることができます。

「アニマは私に何の用があったのでしょう。」

とのことですが、夢の中で、見たことのない自分の部屋〔新しく手に入れた意識の状態〕にアニマが尋ねてきたということは、あなたは最近になって、合理性や理論性、自立性といった男性原理で物事を見るばかりではなくなり、女性性という情緒を生み出したり、暖かい感情によって人と接するというような意識の働きも生じてきたのではないかと思います。
つまり、アニマはあなたの意識に新しい要素・女性性を持たせるために訪ねてきたのだろうと考えられます。
それも、この見知らぬ女性は、“毛の長い犬”という情愛や忠実の象徴を連れていますので、あなたは最近になって、そのような心的要素が育ってきたのではないかと思います。

送信日時:2007年09月18日