▶︎ 好きな人や異性の夢
- 実例夢分析:女性の夢のなかの男性像↓
- ・1118「職場の先輩」
・430「片思いの彼」
- 実例夢分析:男性の夢のなかの女性像↓
- ・947「娘と昔風の日本女性」
・12「山奥の森の女性」
■ 基本的な解釈 その1
異性の夢は、アニマ・アニムスが人格化された心像
広く一般的に、女性は生まれたときから女性らしい服を着せられ、女性らしくあることを求められ、女性的な性格の側面(あるいは女性性)ばかりを発達させて成長していく傾向を持っています。
男性もまた、幼い頃から男性的な性格の側面ばかり発達させる傾向にあります。
わたし達はだれでも、異性の性格の要素は、幼い頃からあまり発達させることはなく、未分化で未発達の体系のまま無意識的となる場合が多いと考えられます。
つまり多くの場合、その傾向は日常生活において、あまり活かされることはなく、無意識下で影を潜めることになります。
そして無意識下のそんな未発達の側面は、夢のなかでは「異性」の姿で表現されます。
女性の無意識下の未分化な男性的な性格の側面(女性の夢のなかの男性像)とは、主に、知的な判断力や自立性、決断力、発言力、論理性、忍耐力、合理性、創造性、客観性、意識性などのことであり、男性が持つ女性的な性格の側面(男性の夢のなかの女性像)は主に、感情の豊かさ、他人との関係性、恵み深さ、優しさ、柔らかさ、身体性、包容力、受身の姿勢、自然性、無意識性などであると言えます。
ですが、一言で、「女性の無意識下の男性的な性格の要素が人格化された心像(アニムスの心像)」と言いましても、その内容は非常に多く、人間が持つ全ての要素の約半分は男性的であり、その反対側に位置する約半分は女性的であると言えます。
一言でアニムス(女性的要素)、男性的要素(アニマ)と言いっても、あまりにも多義的ですので、夢のなかでは、様々なタイプの異性の心像があらわされることになります。
好きな人の夢は、その多くの要素のなかでも、特に肯定的な要素がモチーフ(その夢を生み出した動機)となっていると考えられます。
例えば、夢に生じた好きな人(異性)を思い浮かべたときに「優しそうな人」を連想するのであれば、夢のなかのその人は、ご本人が持っている「優しい心の側面」が人格化された心像であると解釈され、その夢を詳しく解釈するためには、たくさんの連想を広げる作業を必要とします。
■ 基本的な解釈 その2
ご本人の欠けた側面を補償するための心像
夢のなかの好きな人、例えば女性の夢に実在する好きな男性(アニムスの心像)があらわれた場合、私生活において、自分の意識は男性的な側面が欠けてはいないかを考えてみましょう。
女性が見る「好きな男性の夢」は、その女性が持っている“優柔不断さ”や、”柔らかさ”などの女性的な側面を補償する目的を持つ場合が多くあります。
- 女性の夢に男性像が洗わせた場合、参考になるもの↓
- ・グリム童話「つぐみの髯の王さま」
・グリム童話「カエルの王様」など(→ アニムスの心像)
- 男性の夢に女性像があらわれた場合、参考になるもの↓
- ・シベリアの昔話「独りぼっちの漁師」
・グリム童話「なぞ」など(→ アニマの心像)
▶︎ 空を飛ぶ夢
- 実例:空を飛ぶ夢の分析↓
- ・ 783「風で空を飛ぶ」
・ 694「飛んで降りる」
基本的な解釈 その1
空を飛ぶ夢は、現実的なしがらみからの開放をあらわす
多くの場合、空を飛ぶ夢は、現実的なしがらみからの開放や、現在の精神生活に満足していないために、新しい計画を立てて、あきあきした現実のしがらみから飛び出したいという気持ちがモチーフ(その夢を生み出した動機)となっている場合があります。
また、このことはその夢を見た人を心理的に押え付けるような、抑うつや自己疑惑に対処するための解放感であると考えることもできるでしょう。
基本的な解釈 その2
独立心のため学習し、眠っている能力を発揮させようとしていることをあらわす
上の解釈1)がもう少し具体的な理由を持っている場合、独立心や潜在能力の開花といった要素が関係してくる場合があります。
つまり、「社会的な一般常識や既成のルールの下で生活をしていかなければならない」といった感覚が前提にあるとき、過酷であったり退屈であったりする現在の生活から抜け出し、その現状から抜け出すためには、多くの努力が必要であり、様々な事柄を学習しなければならない場合が大半です。
それは、自由への憧れであり、自分の実力を押し上げたいというポジティブな気持ちとも言えます。
空を飛ぶ夢は、そのような多くの人の中の社会的な抑制から飛び出し、独立しようという気持ちがあらわさてれいる場合があります。
多くのことを学び、潜在的な能力を高めて、独立のため自由になろうという心の奥底の気持ちが、空を飛ぶ夢に関係している場合があります。
基本的な解釈 その3
元型的な働き、"永遠の少年"が活性化されたことをあらわす
空を自由に飛び、永遠に大人にならないピーターパンによって描かれているように、空を飛ぶ夢は、普遍的無意識による元型的な心の働き、「永遠の少年」が活性化されていることを意味し、空を飛ぶことによって、自由や万能感を求めている気持ちが表現されている場合があります。
Q「どんなときに見るの?」
A)空を飛ぶ夢は、なにかの目標を実現するために、新しい計画を立てているときなどに見ることが多いようです。
空を飛ぶ夢を見たときは、日常生活がマンネリ気味になっていないか自問自答してみてください。
わたし達の無意識には、日常生活で偏ってしまった意識の状態を補う働きがあるので、空を飛ぶ夢は、日常生活が毎日同じことの繰り返しで疲れているときや現実的なしがらみにウンザリしているときに見ることが多く、夢の中で飛ぶことで、そんな意識の状態を開放している場合が多くあります。
Q「だんだん飛べなくなる夢は?」
A) いままで飛んでいたのに、少しずつ飛べなくなってしまったという夢は、非現実的な目標やしがらみからの開放から、だんだん地に足がついてきて現実的になっていくプロセスをあらわすことが多くあります。
- 空を飛ぶ夢を解釈するために、参考になる世界のもの↓
- ・ ギリシャ神話「イカロス」
・ イギリスの戯曲「ピーターパン」など…
▶︎ 追われる・逃げる夢
- 実例:追われる夢の分析↓
- ・796「男性2人に追われる」
・470「追われる女の子」
基本的な解釈 その1
■ 自分から見て、影となっているような未知なる性格の側面が接近してくる恐れ
わたし達は誰でも、例外なく、幼い頃からほとんど育てずに未発達のままとなっている無意識的な性格の側面を持っています。
夢の中では、そのような現在まで軽視してきた何らかの要素や、苦手な何らかの性格の側面が恐ろしい心像となって追いかけてくることがあります。
それは基本的に、確認することが難しい暗闇や背後、地下やトンネル、あるいは森の中などの無意識を象徴する側面から追いかけてくる場合が多くあります。
それはシャドウコンプレックスと言って、わたし達の普段の生活の中で「こんなものは」と切り捨ててきている何らかの性格の側面と考えられますので、彼らは意識の陽の目を浴びることを望んでおり、自我意識に認めてもらいたがっているので追いかけてくると思われます。
例えば、宗教や占いなどの直感的な側面に偏見を持つ感覚的な合理主義的な性格の物理学者が、得体の知れない何かから逃げている夢を見たのであれば、彼の中の未発達な感情や直感的な性格の側面が意識の光を求めているのかも知れませんし、宗教家や占い師など直感的なタイプの人の夢に、得体の知れない影が追いかけてきたのであれば、その影の正体は彼の未発達な感覚的な性格の側面かも知れません。
また、追いかけてく相手が誰なのかはっきりと分かっている場合は、そのシャドウコンプレックスはかなり意識領域に近いので、ある程度、統合の可能性はあるでしょう。 ですが追いかけてくる相手がまったく得体が知れなかったり、あるいは恐ろしい動物や悪魔、魔物などの元型的な心像の場合は、それはほとんど無意識的で統合の可能性はかなり低いものと考えられます。
そして、もしも追ってくる相手が異性なら、その夢はアニマ・アニムスの心像の否定面の接近について語っています。
シャドウにしても、アニマ・アニムスにしても、そのときの夢を見たご本人が、いまだに持っていない何らかの未発達の性格の傾向をあらわしていますので、もしなにかに追われる夢を見たのなら、日常生活において自分の心にはどんな傾向が欠けているのかを内省する必要がありそうです。
例えば、仕事中でもプライベートでも、いつも知的で合理的なタイプの人が何かに追われる夢を見たのなら、その人は、感情を働かせて人と良い関係を結ぶための性格の要素が欠けているのかも知れず、その無意識下で未分化のまま影を潜めている“社交的で感情の豊かな性格の側面”が夢のなかの追ってくる何か、なのかも知れません。
あるいは、社交的で感情が豊かなタイプの人が追われる夢を見たのなら、無意識下で未発達のまま影を潜めている“知的な性格の側面”が、夢のなかの追ってくる何か、なのかも知れません。
それは、ご本人から見て影となっているような心の要素であり、そのときのご本人がいまだに持っていないような、何らかの性格の要素が意識域へ接近してきていること意味しています。
その追ってくる何かとは、心像(イメージ)でもあるのですが、シャドウコンプレックスといって、無意識下の複雑な感情や観念の複合体でもあり、それは基本的に、意識に認めてもらいたがっている傾向があるので、受け入れてもらい自我意識との統合を果たすために夢のなかで追ってくる、と考えることが出来ます。
ですがその要素は、無意識的で未分化な要素であり、ご本人から見て、あまりにもわけの分からない要素なので、恐ろしく感じるのです。
それは心が成長していくためには、いままで知らずにいた何らかの性格の要素や、無視してきた心の要素と向き合う必要があり、そんな影の側面と向き合うことが、結果的に心の全体的なバランスが保もたれることとなり、心の安定に繋がる場合さえあります。
もし何かに追われる・逃げる夢を見たのでしたら、ご本人の心理学的なタイプを考慮して解釈する必要があり、その追ってくるものの心像を思い浮かべたときの、連想を広げる必要があります。
▶︎ 死の夢
- 実例:死に関する夢の分析↓
- ・ 811「死んでしまった」
・ 694「心臓を燃やす」
基本的な解釈
死ぬ、あるいは殺す相手は自分自身が持っている"その人のような"性格の側面
基本的に、夢の中の登場人物は、その夢を見たご本人が心のどこかに持っている何らかの性格の側面が人格化された心像だと考えられます。
つまり、人を殺してしまう夢は、だれを殺すかが大きなポイントとなります。
例えば、小学生のときの気の小さなシャイな友達を、夢の中で殺してしまったのなら、自分自身のシャイな人格(基本的な言動や行動のパターン)の側面を殺したという比喩表現である可能性が高く、見知らぬ子どもや赤ちゃんが死んでしまったのなら、自分のなかで新たに育つはずであった何らかの新たな可能性の死(終わり)を意味する場合が多くあります。
夢の中で誰かを殺してしまったのなら、それは現実に生かすことのできない自分の中の何らかの性格のエネルギーを土(無意識)に返そうとしているのかも知れません。
それは自分が自分でいるためには、必要な殺人行為なのかも知れませんので、殺してしまう夢は、必ずしも否定的な解釈となるわけではありません。
基本的な解釈
殺されるのは、今までの古い自分(人格)の終わり
自分自身の死の夢は、心の変容のプロセスと関係がある場合が多く、いままでの何らかの人格(その夢を見たご本人の基本的な言動や行動のパターン)の側面が死ぬことによってまったく新しい何かに生まれ変わる可能性が出てきます。
自分自身の死の夢は、現実の生活においても辛い状況や孤独感、あるいは思春期の不安定な時期や生活の環境が大きく変わるときなどにあらわれやすく、やはりだれかのサポートが必要としている場合もあります。
ですがそのことで新しい道が開けます。
夢の中で殺されたり、あるいは自殺したりするのは、新しい自分に生まれ変わるために、いままでの古い自分(人格)の象徴的な死を意味し、新しい自分になるために古い自分を切り捨てて終わらせることを意味しています。
死に関わる夢は、基本的に否定的な情動を伴なう場合が多く、悪夢となりやすいのですが、必ずしも否定的な心の働きがモチーフ(動機)となっているとは言えません。
むしろ新しい人格(新しい言動や行動のパターン)を築き上げるためには必要なことですので、そのような意味においてポジティブな心の描写がモチーフ(動機)となっていると言うことができます。
また、殺されそうになって、逃げのびる夢は、いままでの古い人格の終わりを恐れているということを意味します。
Qどんな時にみるの?
A)生活環境が大きく変わったときや人生の節目などに、死にかかわる夢を見る場合が多くあります。
▶︎ 落ちる夢
- 実例:落ちる夢の分析↓
- ・996「友達が落ちる」
・230「高層ビルで落下」
基本的な解釈 その1
わたし達は誰でも、母親の母体にいる頃は、ある程度、安定した状態にありますが、いざ地面に産み落とされると、不安定な状態となりその時点で第一声に泣き声をあげます。
その後、誰でも成長していく過程で、遊んでいるときに転んで地面に体を打たれたり、滑り台や椅子などから地面に落ちて、痛いという経験を持っているものです。
おそらく、落ちる夢は、そんな心の背景と関係があり、何らかの不安な気持ちと関係している場合が多いようです。
基本的な解釈 その2
落ちる夢は、いまの地位や立場から「落ちる」ことの不安をあらわしてる
落ちる夢は、どんな状況でどこから落ちるのかで意味合いが変わってきます。
体が宙に浮いていたり、ふわふわと飛んでいる夢を見たときは、その夢を見た人の日常生活が空想などにより非現実的な精神に偏りすぎていることがあり、そんな場合、高揚しすぎている気分に対し、
「もっと現実に足をつけたほうがいいよ」
という警告として、無意識がバランスを取ろうとして、落ちる夢を見ることが多いようです。 また、自分の家や勤め先の建物、あるいは崖などから落ちる夢は、やはり、現実でのいまの立場や地位から、「落ちる」ことへの不安をあらわしていることが多いようです。
空という精神や空想の世界から、あまりにも勢いよく地面という現実の世界に突き落とされてしまうと、現実の衝撃に耐え切れずに大怪我(心理的な意味での心の衝撃)をしてしまう危険性さえあります。
もし落ちる夢を見たら、いま現実にいる立場や地位が、本当に自分の能力に見合っているかどうかを内省してみたほうがいいのかも知れません。
あるいは、現実のいまの状況に無理を感じ、心のどこかで妥協したがってはいないかと考えてみてください。そうでなければ、なんらかの誘惑に負けそうになっていないか?それとも、いまのこの職業で毎日食べていけるのか?という不安があるのかも知れません。
なので、もし、なにかから落ちる夢を見たら、もう少し気楽に物事に取り組んだほうが良いのかも知れません。
基本的な解釈 その3
誘惑(気持ちを惹かれるような何か)へ「落ちる」ことをあらわす
肯定的には「恋に落ちる」という言い方があり、否定的には、例えば麻薬の売人がそれを売りつけるために「落とす」という悪い言い方もあります。
無意識が夢を使ってとる表現も、これと同じように、人が本来持っている願望や快楽などに、落ちる、あるいは、おちいる、という意味合いを持つ場合があるようです。なので、落ちる夢は性欲に関係することもあります。
もし、心理的な意味で何かに「落ちて」てしまうことによって、いままでの生活が変ってしまうようなことがあれば、本当に落ちてしまう前に、耐えるべきかどうかを考えたほうが良い場合もあるでしょう。
▶︎ 遅刻する夢
- 実例:遅刻する夢の分析↓
- ・918「遅刻の夢を何度も」
・602「会社に遅刻」
■ 基本的な解釈 その1
遅刻する夢は、幸運を逃してしまうことへの恐れをあらわす
遅刻する夢は、大切な機会や幸運を逃してしまうことへの恐れをあらわしている場合があると考えられます。それは比較的、心の浅い層である個人的無意識からなる場合が多くあります。
遅刻する夢を見たら、遅刻した会社や学校に対し、自分はいまどのような物事に大きな価値を持っているのかを内省し、いま取り組んでいることに対し、少し肩に力が入りすぎていないかを考えてみたほうが良いのかも知れません。
■ 基本的な解釈 その2
本当は重要だけど、"避けたい何か"を指摘している
遅刻先の、会社や学校で行なわれている何らかの事柄は、できれば避けたいと思っているけど、それは本当は重要な事柄である、ということを指摘している場合があります。
なので具体的には、会社や学校で行なっているどのような事柄を避けたいのか? 具体的にはどのような事柄を重用と感じているのかを内省してみたほうが良いのも知れません。ですが、夢の中でそのような指摘をされる(遅刻する)のは、その夢を見た人の責任感や義務感が強いことをも意味しているのかも知れません。
Q「どんなときに見るの?」
A)遅刻してあわてている夢は、責任感や義務感の強い人や、なにかしっかりした目的意識のある人が、まだ学校や職場の環境に慣れていないとき、あるいは、「明日は大切な日」と少し緊張しているとき、なにかの期限が迫っているときなどに見やすいようです。
少しリラックスして柔軟に適応していくことができれば、遅刻する夢はあまり現れなくなります。
▶︎ 歯の夢
- 実例:歯に関する夢の分析↓
- ・1161「ぐらついてた歯が抜けた」
・392「歯が抜けて」
■ 基本的な解釈 その1
与えられ、受け入れるべき何らかの心的内容に対しての、"咀嚼する能力"と関わっている
歯は、体の栄養となる食べ物を噛み砕き、咀嚼するためにあります。
なので、歯が抜けてしまう夢は、現実に与えられた何らかの要素を上手に噛み砕くことが出来なくなっているような心の状態を象徴的にあらわしている可能性があります。 あるいは、新しく歯が生え変わるために抜け落ちたのであれば、今までとは違うような新しい理解力や洞察力、物事を上手に咀嚼して自分の栄養とするための力が変化して、そのような能力が生え変わり、新しいそれを得てきたことをも示唆しています。
また、老いること、力を失うことを恐れる気持ちをあらわしている場合もありますですが、歯が抜ける夢は、やはりなんらかの想いを噛み砕いて自分の中に取り入れることが出来ない状態、想いを消化できないでいるような精神的な状態をあらわしている場合が多いようです。
■ 基本的な解釈 その2
歯が抜ける夢は、古いバックボーンを失ったことをあらわす
歯が抜ける夢は、精神的な成長に関係があり、従来のいままで持っていた何らかのバックボーンを失い、新たな価値観を得ることを意味する場合があります。